2010年5月14日金曜日

フランシス・プーランク

Francis Poulenc/フランシス・プーランク(1899-1963)は、私が最も好きな作曲家の一人です。フランスの作曲家。パリの裕福な家庭に生まれ、パリでピアニストとして活動しながら、数々の作品を作曲しました。フランス6人組の一人(エリック・サティらもその中の一人)です。

彼の作品は、軽快な美しい旋律を持つことから「モーツァルトの再来」と言い表されたり、現代音楽(旋律のあり方が多様化され調性や旋律が崩壊した後の時代の音楽)と比較され「メロディーを持つ20世紀最後の作曲家」と呼ばれたこともありました。

バロック主義、古典主義の特徴のひとつである重厚な和声と、柔和で洒落た現代の和声が交互に登場しながら、美しいハーモニーを響かせます。優しさに包み込まれたかと思えばはぐらかされるような、甘い素っ気なさも魅力の一つです。

様々な表情を持つ音楽構成のため、あらゆる種類の音色を必要とします。また、フレーズ間の微妙な間合い、不意をつくような呼吸感など、日本人はあまり持ち合わせていないような「洒落っ気」を求められる部分が多く、演奏に苦労することも多いかもしれません。

私がよく聞くCDは、パスカル・ロジェ、ジャック・ファヴリエの演奏のものです。個人的な感想ですが、特徴を簡単に言えば、ロジェは「雰囲気あっさり、軽やかでキラキラした音」、ファヴリエは「丁寧なフレーズ感、響きの深い音色」という感じ。私は、ロジェの軽快で微妙なニュアンス、ファヴリエの深い呼吸と音色、どちらも大好きです。相容れないところがあり、矛盾しているかもしれませんが‥。

一番好きな曲は「主題と変奏」です。変奏曲は通常、テーマであるメロディーや調性によって繋がり、ある程度の規則性の中で変化を重ねていくものですが、プーランクの変奏曲はそういった輪郭が希薄で、テーマは様々に姿を変え、調は目まぐるしく変化していきます。とても美しい曲です。個人的には「パスカル・ロジェ」の演奏がお勧めです。プーランクの魅力が、余すところ無く発揮されている演奏だと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿