ある生徒さん(Mちゃん)のレッスンでのできごと。
バイエル46番の後半のある2小節で、必ず間違えてしまう状況が起こっていました。1小節単位で右手と左手の動きを交代しなければならない、たぶんこの曲で一番ややこしいところです。
1小節単位で弾くと弾けます。
片手でもスラスラ弾けます。
でも両手で弾くと…
「両手を同時に動かす」ことに慣れるしかないなあと感じたので、その2小節だけをピックアップして、何度も両手で弾かせました。
「右手の音もっときいて!」
間違えます。
「5の指くねくねしてたら弾けないよ」
今度は違うところで間違えます。
「最初の音もっとつかみなさい」
だんだん悔しそうな表情がにじみ出てくるMちゃん。
「絶対できるからやりなさい」
何度も弾かせます。
また間違えて、弾けないもん!という顔でMちゃんが振り向きます。
「大丈夫。100回やったらできるよ。いつかできる。一緒にやろう。」
気分転換に片手ずつの練習。
また両手で練習。
なかなか弾けません。少し頭がこんがらがっています。
「楽譜をしっかり見なさい」
またつっかえて、やっぱり弾けないじゃん!という目でこちらをじっと見るMちゃん。
「心の中で歌ってごらん」
歯を食いしばって何度も弾きます。
「あー!今途中まで良かったのに!最後まで気を抜いちゃだめ!」
赤い目をして必死にがんばるMちゃん。
そしてついに…
「できたね。15回くらい弾いたかな?もっとかな?いっぱいがんばったね!」
最後はMちゃんもにっこりでした。
本人が悔しそうにしたり、出来ないイライラで投げやりになったりすると、「家で練習しておいで」と持ってかえらせる方がいいのかな、厳しすぎるかなと、時々迷ってしまうことがあります。
でも今日はあきらめなくてよかったです。
本人があきらめても、周りがあきらめても、最後まであきらめないのが先生なのだと思います。
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