2012年1月25日水曜日

あきらめない

ある生徒さん(Mちゃん)のレッスンでのできごと。

バイエル46番の後半のある2小節で、必ず間違えてしまう状況が起こっていました。1小節単位で右手と左手の動きを交代しなければならない、たぶんこの曲で一番ややこしいところです。

1小節単位で弾くと弾けます。
片手でもスラスラ弾けます。
でも両手で弾くと…

「両手を同時に動かす」ことに慣れるしかないなあと感じたので、その2小節だけをピックアップして、何度も両手で弾かせました。

「右手の音もっときいて!」

間違えます。

「5の指くねくねしてたら弾けないよ」

今度は違うところで間違えます。

「最初の音もっとつかみなさい」

だんだん悔しそうな表情がにじみ出てくるMちゃん。

「絶対できるからやりなさい」

何度も弾かせます。

また間違えて、弾けないもん!という顔でMちゃんが振り向きます。

「大丈夫。100回やったらできるよ。いつかできる。一緒にやろう。」

気分転換に片手ずつの練習。

また両手で練習。
なかなか弾けません。少し頭がこんがらがっています。

「楽譜をしっかり見なさい」

またつっかえて、やっぱり弾けないじゃん!という目でこちらをじっと見るMちゃん。

「心の中で歌ってごらん」

歯を食いしばって何度も弾きます。

「あー!今途中まで良かったのに!最後まで気を抜いちゃだめ!」

赤い目をして必死にがんばるMちゃん。

そしてついに…

「できたね。15回くらい弾いたかな?もっとかな?いっぱいがんばったね!」

最後はMちゃんもにっこりでした。

本人が悔しそうにしたり、出来ないイライラで投げやりになったりすると、「家で練習しておいで」と持ってかえらせる方がいいのかな、厳しすぎるかなと、時々迷ってしまうことがあります。

でも今日はあきらめなくてよかったです。

本人があきらめても、周りがあきらめても、最後まであきらめないのが先生なのだと思います。

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